あちこちで運動会の音が聞こえてくる秋晴れの中、伊賀市の木津川の上流域で、自然農法で古代米を栽培しておられる柴田さんを訪ねました。
この地域では早生稲の稲刈りがほとんど終わっている中、約1アールの田んぼには古代米の赤米、黒米、香米、緑米のほかタイの香米や各地で推奨のうるち米など11種のたわわに実った稲穂が風に揺られていました。
柴田さんは元々大阪で生産者の方たちと一緒に食の安全を求めて、無農薬野菜の販売グループに携わっておられたそうです。でもそれだけでは満足せず、環境汚染や、人々の食に対する意識、また伝統の味や食で結ばれる人と人とのきずなを考えると、「やはり自分でやってみなくては・・・」と。何年も自然農塾に通い、5年前にこの地に引っ越しててこられたそうです。
ヘルシーブーム、スローフードへの関心が高まる現在、スーパーでも簡単に手に入るようになりました。種類により、タンニンやアントシアニン、またビタミンやミネラルが豊富に含まれており、古代米は健康食品としても注目されています。
元々稲の原種である野生稲の特徴を受け継いでいる米(稲)のことが古代米と呼ばれ、白米と違いとても丈夫で、荒れた土地でも元気に育ちます。しかし沢山穫れる訳でなく大切な食べ物で、神様へのお供えやお祝いの時に食べられたとか。それが「赤飯」として現在に至ったとも言われます。
1.玄米の色が赤や黒や緑など有色米が多い。
2.一粒一粒に針のように亡(ノギ)を持つものが多い。
3.生命カが極めて強く、荒れ地で無肥料・無農薬でも丈夫に育ち、干ばつ・冷水などにも強い。
4.背丈が1.5メートル近く伸びるため、倒れやすい。
5.実ると籾(もみ)がこぽれ落ちるものが多い。
6.現代の米に比べて収穫量が少ない。など「雑草に近い米」なのかもしれません。
自然農法で育てておられる柴田さんの田んぼは、田自体も耕さず、無農薬で肥料も与えず、除虫・除草もせず余計なことをしない。自然のまんまで虫も草も活かす。「自然の力を養い、わたしのありようを振り返る」と、イキイキと語ってくれた柴田さんの育てられている古代米はまもなく稲刈りです。
◆古代米
(2006年9月 掲載)
※取材内容は掲載時によるものです。
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