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各地の海・山・里の旬な食材・収穫シーンを紹介してます。
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水菜はすでに西暦1,600年代には、今の京都市南西の夏寺や、九条辺りで栽培されていたそうです。

現在では、都市化の影響を受け、徐々に南下し、南区吉祥院や上鳥羽辺りで多く栽培されています。今回伺ったのも吉祥院、桂川に沿った河川敷の畑です。河川敷の畑と言いましても、広々と整地されたれっきとした農地です。





遠目に見ると、緑色のカーペットを敷いたように見えるほどです。畑に降りてみますと、ほうれん草、九条葱、キャベツなどなど、その中に一際柔らかく盛り上がった薄緑色の水菜の畑が目を惹きます。

近くに行ってみますと、遠目には分からなかったものの、何畝か壬生菜も栽培されています。それもそのはず、この壬生菜はもともと水菜から、西暦1,800年代頃、自然交雑の変種として出現したと言われているのですから。


時代が流れて昭和のはじめ頃には、京都府下でも壬生菜の栽培のほうが多かったそうです。

この水菜と壬生菜、見た目にははっきりとした違いがあります。水菜は、ギザギザの深い切れ込みがある葉で、一方の壬生菜は、細長い卵型で切れ込みのないへら状の葉をもち、その名前は壬生地区に多く栽培されていたことに由来するそうです。





近くで収穫をしていた農家のご主人にお話を伺いました。ご主人によりますと、京都では水菜、壬生菜どちらも”みずな”と呼んでいるそうで、区別するときは、水菜は「切れ葉」、壬生菜は「丸葉」と言うのだそうです。

食感にも違いはあり、水菜はシャキシャキとした歯切れの良さ、壬生菜はしんなりとして柔らかい。水菜は近年そのみずみずしさと食感がうけ、ハウス栽培による小株のものが生食用(サラダなど)として年中出回りますが、ここでは昔ながらの露地栽培、1kgを超える大株です。ほとんどが漬け物になるそうですが、私などは、鯨と水菜を一緒に炊いたハリハリ鍋を思い出します。





水菜には肉の臭みをとる働きがあるそうで、鯨が手に入りにくい昨今は、牛肉等に代えてみても良さそうです。一方壬生菜のほうは漬け物にもなりますが、油炒めや和え物もおいしく、すき焼きにも春菊などの代わりに入れると柔らかくて美味しいそうです。収穫した水菜を一株持ち上げていただきました。ご主人のお腹の前、一抱えもある大きさです。

昔から、千筋水菜と云われたのも納得の、みずみずしい白と緑の細い葉柄が何百本も塊になっています。キラキラと光る様子は新鮮そのもの。シャキシャキと音まで聞こえそうです。

9月末頃までに種をまいたものを11月2月末頃まで収穫するそうです。葉物野菜は水はけが大切ですが、昨年秋の長雨の影響で、自家採種で栽培されている壬生菜が例年に比し出来に不満があると仰います。

現在では、関東周辺でも出荷量が増え、全国的に見れば昔のように多くはありませんが、古くから京菜、水菜、糸菜、東寺菜、壬生菜などと呼び慣れわされたまさに伝統野菜です。
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