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年の瀬もいよいよ押し迫って来ました。お正月の準備に忙しい方々も多い事と思います。家庭の主婦の皆様には、おせち料理に頭を悩ませることも多いこの頃です。今回はおせち料理には欠かせない野菜の中から、京野菜の1つでもありますくわい(慈姑)のお話です。





京の伝統野菜の取材の一環で訪れたのは、京都市伏見区竹田。この辺りは高速道路が走り、住宅が建ち並び、昔は湿地だったということも嘘の様です。住宅に挟まれた一角に目指す畑はありました。







「お正月の縁起物のくわいは年を越してしまうと値打ちがなくなるんでね」と、畑でお遇いした 銭谷 武志(ぜにたに たけし)さんは、そう言いながら作業を続けています。

もともと隣接する上鳥羽辺りが京くわいの産地であったようですが、環境の変化、特に近年、浄水場が出来るなどの影響で水環境も大きく変わり、土地が乾いてしまって、湿地が絶対条件のくわいの栽培には不向きになってしまったのです。そのため、銭谷さんも今は、親戚の土地を借り、上鳥羽からこの竹田まで来ているのだそうです。





葉柄を刈り取った後の畑に、クマデ(熊手)と呼ぶ柄の短い4本鍬を掻き込み、出てきたくわいを1つ1つ丁寧に収穫して行きます。畑の土に足をとられ、一歩の移動にも力が入ります。既にいくつかの竹籠が、土の付いたくわいで一杯になっていました。くわいは、親株から伸びた地下茎の先端に着く塊茎です。地下茎は四方八方に伸びているので、畑全部を根気よく掘り返して行くのです。





地下茎を一本掘って見せていただきました。50センチ程もある茎の先に、大きな芽を付けたくわい。土を拭い取ってみると、鮮やかな青藍色、この青が京くわいの特色です。隣にある作業小屋には、大小に選別されたくわいが、水に漬けられていました。こうして置くと長持ちするのだそうです。





ところで、このくわい(慈姑)、国内では、白くわい、青くわい、吹田くわいの三種があり、京くわいは、日本産品種と言われている青くわいで、中国伝来の白くわいに比べ、柔らかいそうです。ちなみに吹田くわい は、大阪のなにわ伝統野菜の1つで、宝永年間に貝原益軒が著した、大和本草にもある古くから栽培記録のあるくわいです。くわいがおせち料理や祝い膳に用いられるのは、くわいにある大きな芽が、芽出たい→めでたい、芽が出る→出世する、などに掛けられた為だそうです。

主な成分は、でんぷんですが、たんぱく質も野菜の中では多いようです。多少の苦味はありますが、ほくほくとした栗様の食感と味わいは独特で、この時季楽しみの一品です。時代が移るにつれ、忘れられ、変化して行くものが多いこの頃ですが、少しだけ伝統的なこだわりを持って栽培し続ける農家、おいしい料理を作り続ける料理人などがおられることは、嬉しいことです。

もうすぐ年越し、来年こそは芽がでますように。

(2006年12月 掲載)
※取材内容は掲載時によるものです。
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