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秋味。この語感から何をイメージされますか?

秋の味覚を連想された方が殆どでしょう。或いは某メーカーのビールでしょうか。答えは鮭! 北海道では秋(9 〜11月頃)に獲れるシロザケを秋鮭、秋味と呼びます。





今回は 秋味 を求めて知床半島・羅臼に行って来ました。


標津に到着早々、低気圧の影響で鮭の定置網が大きな被害。とテレビ、新聞などで報道されているのを見て不安にかられながら羅臼に入りました。翌朝、羅臼漁港に行って見ますと、ニュースは誤報かと思うほどに賑やかに水揚げされていました。羅臼あたりの定置網は比較的深い所にあるらしく、地形的にも穏やかな地域なのだそうです。





複数の漁場から戻ってくる船はどれも喫水深く、数百羽の海鳥を伴い堂々の入港です。水揚げは、待ち構えていた漁協の人たちも交じり手際よく選別され、大きなタンクに氷漬けで並べていきます。一部特別なものを除きタンクごとセリにかかります。

一口に鮭と言っても大小、色形さまざまで驚きますが、この季節水揚げされているのは、全て同じシロザケなのだそうです。雌雄、幼老、混ざり合いセリ値もピンからキリとのこと。なかでも脂のりがよくおいしいのは、銀毛(ぎんけ)と呼ばれるもので、良質のタンパク質、カルシウムのほか鮭に特徴的な栄養素、ビタミンB群(B1、B6、B12など)やアスタキサンチン、DHA、EPAなどが豊富です。ビタミンB群はエネルギー、タンパク質の代謝に欠かせず、アスタキサンチンはポリフェノールの一種で、ビタミンEの200倍の坑酸化力で体内細胞を守ります。

DHA、EPAは血液さらさら効果、コレステロール低下、血圧降下作用などとともに脳の機能を高めるさまざまな効果があります。さて、この有り難い鮭をいただくわけですが、一般的なのはなんと言っても塩鮭、新巻鮭でしょうか。





それとイクラ!
イクラは塩、醤油ほかいろいろ味付けされたものがあります。





今回は港でお遇いした仲買人の方が、昔ながらの製法で新巻鮭を作っておられるとのことで、早速お邪魔することに。見せていただいたのは山漬けと言う江戸時代からの伝統製法。最初の漬け込みから手返し、塩抜き、寒風干しなどの行程を手作業で繰り返す長期熟成仕込み。





伺った日は手返しの積み替え作業の最中でした。新しい塩をすり込み、むしろを敷いた桶に並べ、積み重ねて行きます。このように塩と鮭を交互に高く積み上げるため山積けと呼ぶのだそうです。20日以上も重石をかけ熟成させ、途中何度も上下を入れ換えることにより塩が鮭の水分を出しきり、タンパク質がアミノ酸へと変化し旨みになるのを待ちます。中から1尾持ち上げていただきましたがかなり大きなものです。 普通、出来上った新巻鮭はもともとの重さの半分くらいになるそうです。





昨今は低塩志向もあり、箱冷という簡単な製法(極端にいえば鮭を塩と一緒に箱に入れて冷凍庫に入れる。)がほとんどだと嘆いておられました。全ての行程を見れないのが残念でしたが、お世話になりました知床三左ヱ門本舗 町田義隆社長ありがとうございました。


(2006年11月 掲載)
※取材内容は掲載時によるものです。
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