11月の下旬、記者の故郷徳島県の南部、海陽町(旧海南町)の清流で知られる海部川の流域にハウスきゅうりの栽培農家を訪ねました。この地域の平野部はきゅうりをはじめブロッコリーや他の野菜作りの産地でもあります。
今回お訪ねしたときは、当日の朝の出荷が終了し明日からの収穫に備えての手入れをされている最中でした。当初お伺いしたハウスでは、残念ながらまだ花の時期で、ご親切に何日か前から出荷が始まっているハウスにご案内頂きました。
案内していただいたのは、現在ご夫婦で25年間、2反のハウスを「きゅうり」専門でやられている栽培農家さんです。近隣に10軒のきゅうり専門の栽培農家さんがあり、平均1反に1シーズンで20tを出荷されます。例年、9月後半に種まきをし、10月中旬頃に定植。11月後半から来年の6月一杯まで、順次収穫が続けられます。
近年の燃料費の高騰はハウス栽培では相当な痛手のようです。暖かい四国の地域とはいえ、1月〜2月の間は1晩にドラム缶1本の燃料を使うときもあるそうです。そのほか病気や天候、または相場の波など、良品質のきゅうりをコンスタントに生産していく上で問題点は多いそうです。
ハウス栽培と言っても天候の悪さは、大事な日照時間不足で作柄に大きな影響を与えます。雨の日が3〜4日続くと大変らしいです。
まっすぐなきゅうりでなきゃだめなの?今は3種類の品種が育てられていますが、現在の消費者は綺麗さの中に「まっすぐ」を求め、2cmの曲がり誤差で単価が違うそうです。
曲がってても味は変わらんじぇ「まっすぐな品種があるんですか?」と素直な質問をしてみました。「きゅうりは、本来曲がるものですよ。」肥料のタイミングや温度、収穫のタイミングなどで曲がり具合に差がでるそうです。「そりゃ、箱詰めは効率が良いんやけど、味は変わらんじぇ。」
ご主人にお話をお聞きしている間も、奥さんの方は上に伸びたきゅうりの蔓を同じ高さに結びなおしていきます。質の安定化と収穫時間の効率をあげるため、順次この作業を繰り返されていました。ご夫婦で丹誠込て育てられた自慢の徳島海陽町の「ハウスきゅうり」は地元JAに集まり、主に京阪神の市場へ流通していきます。
(2006年12月 掲載)
※取材内容は掲載時によるものです。
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