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18号に続き羅臼から秋鮭のレポートをお届けします。

本号は 幻の・・・と冠の付く鮭児と、勝るとも劣らぬ目近(めぢか)鮭の紹介です。目近鮭はさておき鮭児の名はかなりの方々がご存じでしょう。





先日も名古屋あたりで1尾十万円を超える値段が付き話題になりました。何故?専門的なことは他にゆずるとして、とにかく数が少ない。統計では1万尾に1〜2尾と言われています。一方目近鮭はと言えばこれまた1千尾に1尾と稀少なのだそうです。両者とも秋のこの時期漁獲されるシロザケです。名前の由来ですが鮭児は字面の通り鮭の児(こども)、まだ十分に成長していない育ち盛り。そのため脂質の割合が非常に高く(20〜30%あるとも言われる)上品、肉質もきめこまかいのが特徴。





目近鮭は目が近いから、何に近いかと言うと鼻先に。つまり生殖のため遡上しようとする頃の鮭は、全身に色々な変化を見せるのですが、頭部が大きく、特に鼻が長く変化します。雄ははなまがりなどとも言われますが、これらとの比較で名付けられたのだそうです。

最近の調査の結果、鮭児はロシア アムール川系に夏遡上するシロザケが、11月頃、知床から網走あたりを回遊するシロザケの群に迷い込んだものである確率が高いと考えられています。方や目近鮭は本州の母川に帰る途上のシロザケが脂がのりきった状態で定置網に入るものだそうです。脂のりでは鮭児に負けますがそれ以外は遜色はないようです。記者は目近鮭をいただきましたが脂も旨みも言うことなしの絶品でした。とすると鮭児は・・・。





それではセリ場を覗いてみましょう。18号をご記憶ならば、一部特別なものを除き〜の箇所を思い出して下さい。その部分がまさに鮭児と目近鮭なのです。セリ場で待つ記者の前にさも大切そうに1尾、2尾また1尾と持ちこまれる銀色に光る魚体、青いケースに1尾づつ氷とともに入れられ、証明書が添えられ勲章のごときRAUSU SALMON 2006のバッヂが付けられます。比較的小ぶりなのに驚いていると漁協の係りの人が、鮭児は3kg前後が一番だと教えてくれました。あまり大きいと肉質が劣るのだそうです。中には1.1kgの表示のものが堂々とあのバッヂをつけています。


この日は2ダースほどはあったようです。奥まった所に前出の青いケースに収まらないほどの大きさの目近鮭が並びます。こちらは1ケースに2〜3尾全部で50尾ほどでしょうか。立派な銀毛です。目近、銀毛特などと書かれた紙が魚体に付いています。一様にキズのない綺麗な魚体です。





いよいよセリが始まりますと仲買人諸氏真剣そのもの、つぎつぎにセリ落とされて行きます。競り落とした仲買人の印が貼られたかと思うとアッという間に運び出されてしまいました。呆気にとられている記者に前号に登場の知床三左ヱ門本舗 町田義隆社長が声をかけてくれました。社長も今日は鮭児を競り落とした様子、厳しいなかにも安堵の笑顔ながらそのままトラックを出してしまいました。目眩き時間でした。まさに真剣勝負の世界です。

漁港を引き揚げ漁協の直売所でお話しを聞くことにしました。直売とは言え 鮭児は勿論目近鮭も並んでいません。じっくりと見たかったのですが残念、美味しい食べ方だけ聞いてみました。
両者とも刺身は絶品、ただしそのままではだめで寄生虫対策のため一度冷凍するそうです。解凍して刺身に、また凍ったままルイベでいただきましょう。脂ののった焼き物も文句なし。





駆け足の羅臼でしたが自然の豊かな恵みと人々の逞しさを実感させられました。羅臼はこの後厳しい冬を迎えます。

(2006年11月 掲載)
※取材内容は掲載時によるものです。
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