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各地の海・山・里の旬な食材・収穫シーンを紹介してます。
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いよいよ本格的な冬シーズンの訪れです。昔から冬になるとよく口にしたのが みかん でした。コタツにみかん、火鉢の焼みかん、列車旅行の冷凍みかんなどなど私たち昭和育ちの世代には懐かしい記憶です。





ところで、みかんの産地と言いますとすぐ思い浮かぶのは、和歌山、愛媛、静岡、熊本などですが、筆者の住む大阪近辺でも奈良の飛鳥みかんや地元大阪河内の大阪みかんなど各地にあります。12月に入りいよいよ収穫も最盛期を迎える和歌山県有田市の箕島に行ってきました。JR紀勢本線の海南を過ぎる頃から車窓山手には、黄色い果実をいっぱい着けたみかんの畑が見えてきます。





有田市周辺は年間を通し色々な柑橘を栽培していますが、今回は今が旬の温州みかんです。駅前の案内所で訊いてみますと、今年は全体として作柄は良くなくそのぶん価格は少し高めだそうです。目的の畑では既にその日の収穫を半ば終えようとしていました。コンテナいっぱいのみかんが幾つも積み上げられています。筆者も早速山に登ることに。







その日伺いましたのは、当地で古くからみかんを栽培されている農家の当主 成川 洋司(なりかわ ようじ)さん。屋号は宗兵衛。山の中腹辺りで御両親、奥さんら5人で収穫の真っ最中。畑は石積みの段々畑。太陽の光が降り注ぐ絶好の環境です。洋司さんのお父様のお話しでは、この石積みに使われている青石が出る山がアルカリ性でみかん栽培に向いており、また石積みには土止めの役割やみかん栽培の要の1つ水はけを良くする働きがあるそうです。







全体的に良くない作柄にも拘わらず、成川さんの畑は成績がよいそうで、同じ地域ではあっても畑の違いや栽培農家個々の技術の差など、日常の努力の結果だとおっしゃいます。
また今年の夏から秋にかけての気候も良い影響を与えたようです。雨が少なく、暑い日が続いたため、みかんの木自体の持つ 種の保存本能、生命力が働いたというのです。農家はその働きを助けて行くだけという一面もあるのだそうです。





また成川さんの所では、昔ながらの石灰硫黄合剤の散布をされています。これは害虫の駆除、カビの予防などの他、果実の余分な水分をとばしてみかんの甘みを増やし、表皮の色を良くするなどの効果があるようです。この農薬は人体への安全性も認められ衛生面の問題もありません。ただ、収穫時にカルシウム分が表皮に浮いて白く見えます。綺麗に拭き取れば中身への浸透はないようです。散布は手間のかかる作業ですが、おいしいみかんを作る努力の1つ。

成川さんをはじめみかん農家が目標としているのは、糖分と酸の絶妙なバランス。糖度12%以上、酸度0.8%程度の果実だそうで、中には糖度18%程のものもあります。成川さんに選んでいただいたみかんを食べて驚きました。非常に甘い。そして適度なすっぱさ。

美味しいみかんの選び方を聞いてみると、大きすぎず、色が濃く、さわってみて堅いくらい身と皮がくっついていて、皮の表面が凸凹した感じのもの。実際いただいた1つは今までの見方が間違っていたかと思わせる程小ぶりで凸凹したものでした。

最近ではみかんを食べる人が少なくなっているそうですが、ビタミンCが豊富に含まれるみかん。それだけではなく、温州みかんには風邪の予防によい シネフィリンという成分や、抗酸化力が強く美容やがん予防に効果的といわれるβクリプトキサンチン(みかんの黄色成分のカロテノイド)などが含まれています。食べ過ぎは柑皮症や糖分の過摂取になりますので注意しながら、この冬旬のおいしいみかんを楽しんでみてはいかがでしょう。

(2006年12月 掲載)
※取材内容は掲載時によるものです。
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